12月 ひとりごと

こんにちは、今年もあとわずかとなりました。年末年始は温泉宿で一年の疲れをとって過ごす方もいらっしゃるようです。日常では味わえない独特な開放感が、何よりの魅力でしょうか。今では宿泊そのものが目的となっていることもありますが、そもそも宿の起源はその昔、現代よりも何倍もの時間がかかった旅の途中の寝るところであったり、食を提供してくれるところだったわけで、訪れた先で無償で自宅を開放してもてなしたのが始まりとされています。親切心からというのはもちろんですが、旅人がもたらしてくれる外の情報に触れることにも大きな魅力や意味があったようです。奈良時代になると仏教の力が強くなり各地に寺院を建設しますが、これに伴って宿坊なども発達していきました。そして、こうした公的な宿だけでなく、有償で食事を出したり宿泊させたりといった私的な宿も営まれるようになっていったようです。ところで、世界最古の宿はどこにあるかご存じでしょうか? 実は、日本にあります。2011年にギネスで認定された山梨県の秘境にある西山温泉「慶(けい)雲館(うんかん)という宿で、なんと!創業はおよそ1300年前、飛鳥時代(705年)だそうです。長野県や静岡県との県境にあり、峠を越える旅人たちのために宿を営んだのが始まりで、現在の当主は53代目。千年以上一度もかれることのない源泉に恵まれていて湯量も豊富、泉質も申し分ない温泉です。武田信玄徳川家康など多くの武将や文人も訪れ、愛されてきた宿というのも興味深いですね。ちなみに、世界最古の宿の2位、3位も日本にあり、兵庫県城崎温泉「千年の湯 古(こ)まん」、石川県の粟津温泉 「法師(ほうし)」だそうで、世界を見渡しても創業100年を超える宿は多くはないのですが、その中で日本は一番多く、約60%を日本の宿が占めているそうです。土地の旬の食材を使った料理やお酒、くつろげる温泉、上質なおもてなし、風情のある美しい建物、周りの豊かな自然や奥深い歴史・文化など、さまざまな魅力をじっくり堪能できる老舗の宿でゆっくりと過ごしてみたいものです。それでは皆様、健康で良い年の瀬をお過ごし下さい。

光前寺の境内各所に植えられたモミジが赤や黄色に色付いていました。11/14(金)

11月 ひとりごと

こんにちは、厳しかった残暑もようやく落ち着き、冬の訪れを感じる季節となりました。今年4月から開催された「大阪・関西万博」も、先月ついに閉幕しました。建設資材の高騰や人件費の上昇により、総工事費は当初の見込みのほぼ2倍に膨らんだとの報道があったり、「果たしてどれほどの来場者が集まるのか?」と懸念する声も少なくありませんでしたが、いざ開幕してみると、国内外から多くの来場者が訪れ、空飛ぶクルマや拍動するiPS心臓といった未来技術の展示はもちろん、各国のパビリオンも賑わいを見せ、文化交流の場としても大きな役割を果たしました。結果として、万博は大成功だったと言えるのではないでしょうか。さて11月に入り、今年も残すところあとわずかとなりました。年末が近づくにつれ、自然と一年を振り返りたくなるものです。今月は、そんな振り返りの時間をより豊かにしてくれる「ジャーナリング」という手法をご紹介します。「ジャーナリング」とは、日々の思いや出来事を自由に書き留めることで、自分自身と向き合う時間をつくる方法です。特別なルールはなく、紙とペンさえあればすぐに始められます。忙しい日々の中で、ほんの数分でも「書く時間」を持つことで、心の整理や気づきが生まれ、ストレスの軽減や自己理解の促進につながります。日記と似ているようにも思われますが、実は大きな違いがあります。日記は主にその日の出来事や感想を記録するもので、何があったか、どんな気持ちだったかを時系列で残すことで思い出を振り返る手助けになります。一方、「ジャーナリング」は日記よりも自由で、より内面的なことを書く手法です。今感じていること、頭に浮かんだ考え、悩み、感謝、未来への思いなど、テーマも書き方もすべて自分次第。心の中を言葉で整理するような感覚で、思いのままにペンを走らせましょう。デジタル化が進む現代において、このようなアナログな習慣がむしろ注目を集めているのは、とても興味深い現象です。スマートフォンSNSによって常に情報にさらされている今、「ジャーナリング」はそんなデジタル疲れから一時的に距離を置き、自分の内面と静かに向き合う時間をつくる手段として機能しているのかもしれません。

人影まばらな早朝のメインストリート「ピーマン通り」のジャック・オ・ランタン!10/19(日)

10月 ひとりごと

こんにちは、赤とんぼを見かけるようになると、すっかり秋だなあと感じます。秋は日中と夜間の気温差が大きくなり体への負担も増しますので、体調管理には十分お気をつけください。さて、皆さんはパンはお好きですか?小麦の香ばしい匂いやバターの甘い香りは、幸せな気分にしてくれます。 パンは食事になる総菜パンからスイーツのような菓子パンまであり、バリエーション豊かな懐の深さも魅力的です。この時期には、秋の味覚を取り入れた新作パンも次々に登場。ずらりと並んだパンの中からアレもコレもとつい手が伸びてしまいます。近年は、米価格の急騰の影響もあってか、パン食が増えているそうです。ただ、そんなことに関係なく、日本でパン好きの方は確実に増えています。パンが日本にやってきたのは1543年、織田信長の時代といわれています。当時は一般人がパンを食べることは少なく、日本になじむまでには時間がかかりました。しかし、1874(明治7)年、ついに日本生まれのパンが登場します。皆さんご存じの“木村屋のあんパン”です。日本酒の酒種酵母菌で発酵させたパンで小豆あんを包み、中心のくぼみに桜の花の塩漬けをあしらったもの。何とも日本的情緒があります。NHKの朝ドラ『あんぱん』でも、皆の心を癒すシンボルとしてあんパンが登場していました。フランスパンのような硬くてパリッとしたパンとは違い、日本生まれのパンはふわふわして柔らかいのが特徴。それには理由があって日本人は舌が短く唾液が少ないため、硬いバゲットなどはパサパサして食べづらいのだそうです。なお、あんパン、クリームパン、ジャムパンが“日本の3大菓子パン”といわれていますが、海外の菓子パンはクリームを生地の中に練り込んだり、生地の上に乗せるタイプが一般的です。生地であんなどを包み込むのは高い技術が必要で、それを丁寧に手間をかけてやるのは日本ならではとの事。そうコロネも日本生まれです。巻貝の形で中に空洞を作って、そこにクリームを詰め込んだとてもユニークなパンですが、遊び心があるだけでなく日本の技術力があるからこそ生まれたものだったのです。ちなみにコロネを細い方、太い方のどっちから食べるかという話は結構盛り上がります。

北杜市に行った帰り、お昼に最近オープンした「トリュフベーカリー南八ヶ岳」でパンを頂いてきました。9/14(日)

 

9月 ひとりごと

こんにちは、いよいよ9月となりました。今年は7月に入る前から真夏日が続き、梅雨らしい時期は短く、暑い夏が続きましたから早く涼しくなって欲しいですね。さて、今月からゴッホの大規模な巡回展が、日本で開催されるのをご存じでしょうか? この「大ゴッホ展」は、神戸を皮切りに、福島(来年2月~)、東京(来年5月~)の3カ所を、2期に分けて巡回します。阪神・淡路大震災から30年となる神戸、東日本大震災から15年となる福島で、節目の年に取り組む事業として企画されたものだそうです。今月から始まる第1期ではオランダ時代からの画業前半が紹介され、中でも南フランスの都市アルルの広場にあるカフェテラスを描いた《夜のカフェテラス》が約20年ぶりに日本で公開されるとあって話題を呼んでいます。《夜のカフェテラス》は、夜空の青とカフェの黄色い明かりがとても印象的な作品。フランスで印象派の作品に影響されたことで、ゴッホの画風やタッチが軽やかに色鮮やかになっていったと言われています。有名なゴッホの作品《ひまわり》もこの頃に描かれたもので、黄色がとても鮮やかで心に残るものになっています。また、ゴッホといえば自画像を思い浮かべる方も多いと思いますが、このアルル時代に描かれた自画像も来日するそうです。2027年から予定されている第2期では、《夜のカフェテラス》と並ぶゴッホの最高傑作《アルルの跳(は)ね橋(ばし)》が展示され、アルル時代から晩年までの画業後半が紹介される予定です。この作品はオランダの国宝であり、貸し出されることは非常に稀で日本公開は約70年ぶりになるそうですので人生に一度しか見られないかもしない貴重な機会です。ゴッホは浮世絵からも大きく影響を受けたともいわれ、日本人に馴染みのある色彩や構図も見どころです。またゴッホの作品の最大の魅力は、絵画の知識がなくとも見る人に感覚的に伝わる迫力や感情表現だとも言われていますから、この機会にゆっくりと鑑賞できたら良いですね。それでは皆さん、今月も元気に過ごしましょう。

今年も盛大に「中川どんちゃん祭り」が開催されました。毎年の事ですが、間近で見れる花火は迫力満点!8/23(土)

8月 ひとりごと

こんにちは、今の季節、子供たちは「夏休み」の時期ですが、この「夏休み」という言葉の響き良いですよね!夏になると「何をしようかな」「どこに出掛けようかな」と、何か素敵な思い出が作れそうな気分になります。皆さんは、夏の旅行計画はありますか?世界遺産を巡る旅も相変わらず人気のようで、なかでもスペイン、バルセロナサグラダ・ファミリア聖堂は注目度が高いそうです。未完成であるにもかかわらず世界遺産に登録されているこの聖堂は、2026年には完成することが発表されています。完成には300年もかかるとされ「永遠に完成されない建物」と呼ばれていた聖堂が、ついに完成するとあって大きな話題になりました。建築が始まったのは1882年ですから、すでに140年ほど経過していることになります。建築家・ガウディは31歳の時、2代目としてこの建物の建築を引き継ぎました。当初の計画より、もっとスケールの大きなものを作ろうとしたものですから、本人が完成した姿を見ることは絶対不可能だとわかっていたはず。にもかかわらず、人生を賭けてこの建築に邁進したのは、自分の死後も誰かが引き継いでくれること、そして必ず完成にこぎつけることを確信していたのでしょう。壮大で荘厳なサグラダ・ファミリア聖堂の建築者たる所以だなあと、感服せずにはいられません。2026年はガウディ没後100年に当たる年でもあり、どうか無事に完成してほしいですね。さて、建築に長い時間がかかった建物といえば、バッキンガム宮殿もそのひとつ。バルコニーから手を振る王室の方々が見られる、英国の象徴ともいえる存在ではないでしょうか。もともとはバッキンガム公爵のために建てられた邸宅で、150年もの歳月をかけて建築が進められてきたのだそうです。また、イタリアのピサの斜塔も、完成に要した時間は200年!現代のように機械化、IT化が進んでいるわけではありませんから、今以上に時間がかかるのは当然です。しかし、人の寿命を超えた100年単位の時間をかけて創り上げようとすることに、とてもロマンを感じます。


御岳ロープウェイ山頂駅でランチ。7/13(日)

今日はここまでの往復、山頂駅から15分、7合目の行場山荘。名物「力もち」はオススメ!

7月 ひとりごと

こんにちは、いよいよ夏本番の7月となりましたが皆さん、いかがお過ごしでしょうか?「将来的に日本の四季が二季になる…」と、気象の専門家らが警鐘を鳴らしだしてから、はや数年。最初は「まさか?」と思っていましたが、今年は春の陽気が感じられるはずの4月に日本各地で夏日を観測するなど、日々の生活の中で実感する機会が増えてきてしまいました。6月からすでに真夏を感じていた方も多かったことでしょう。さて、そんな暑すぎる夏を楽しめる話を1つご紹介させていただきます。今月末、沖縄に新しいテーマパークがオープンします。沖縄北部の大森林の中に建設された施設の名は「ジャングリア沖縄」。名前からも想像できるように、雄大な沖縄の自然を生かした敷地面積66ヘクタールのテーマパークです。恐竜のいる森の中をオフロード車で走り抜けたり、森の木々の上に架かるつり橋を渡ってトレッキングをしたり、熱気球で大空からジャングルを眺めたりするなど、子供から大人まで楽しめるアトラクションがたくさんあるそうです。また、海や空などと一体化したような視界が広がる“インフィニティ風呂(露天風呂)”を備えた広いスパもあるので、リラックスのために訪れても良いでしょう。“インフィニティ風呂”は、なんと!ギネス公認の世界最大の広さということですから、一度は行ってみたいものです。このテーマパークは、実は創業からわずか5年の日本のスタートアップ企業が手掛けています。700億円もの資金調達に成功して、実現させたのですから本当に驚きです。そのスタートアップ企業は、大阪の「ユニバーサル・スタジオ・ジャパンUSJ)」を再生させたことで有名な、マーケティングのプロ・森岡(もりおか)毅(つよし)氏が率いる会社。著書もたくさん出している森岡氏のことはご存じの方も多いかもしれませんが、「USJ」の他にも「ネスタリゾート神戸」や長崎の「ハウステンボス」などのテーマパークの再生や企業支援を手掛け、実績をあげてきました。その森岡氏が、今まで観光客が素通りしてしまっていた沖縄北部に、世界各地から観光客を呼び込めるようなテーマパークを造ったというわけです。今後の日本の観光が変わるかもしれない「ジャングリア沖縄」。今後の展開に注目です。


梅雨の晴れ間、下界の暑さを忘れ、美ヶ原高原でトレッキング。6/29(日)

6月 ひとりごと

こんにちは、6月に入りもうすぐ梅雨入り、ジメジメした雨の日が続いたかと思えば、年々晴れ間は夏のような強い陽射しになっている気がして、身体への負担も気になるところです。さて、湿度が高いこの時期は、食材の管理やお弁当などにも注意が必要です。そんなお弁当にも入っている名脇役で、日本の食卓に欠かせない副菜と言えば漬物ではないでしょうか。口直しとしてだけでなく、ビタミン類を多く含んでいて栄養もたっぷり。夏場は暑さですぐに食べ物は傷んでしまいますし、冬場は野菜やキノコなどが採れなくなります。なんとか食品を長持ちさせなくてはいけない。という切実な状況から、長期間に渡って保存が可能な漬物が生まれました。塩で漬けこんだり、発酵させたりした漬物は保存性に富むうえに、野菜をおいしく食べやすくするという点でも優れていると思います。漬物にすることで野菜がしんなりしてアクも取れて食べやすくなりますし、漬物独特の風味もとても味わい深く、日本は世界にも類を見ない“漬物大国”と言われています。四季があって南北に長い豊かな土地でさまざまな野菜ができることや、高い湿度を利用してうまく発酵させられることなど、漬物文化が発達する有利な条件が揃っているようです。2013年に和食がユネスコ無形文化遺産に登録された時には、一汁三菜、つまり飯、汁と3つの副菜(漬物・煮物・焼き物)という日本の食文化が世界に認められ、漬物にも注目が集まりました。近年は、漬物に含まれている植物性乳酸菌が健康に良いと、再び評価も高まっています。皆さんがお好きな漬物はなんでしょうか。ぬか漬け、みそ漬け、かす漬け、浅漬け…など、漬け方の種類や調味料も多彩ですし、日本各地の固有の漬物も豊富です。ただし、漬物は塩分が多く含まれるものが多いので、食べ過ぎにはご注意くださいね。


国営アルプスあづみの公園のチューリップ畑。早咲きの品種は花を落としていましたが、遅咲きの品種はまだ楽しめました。5/11(日)